
今回は、FXトレードロジックの中でも、人気の手法ゴールデンクロスの勝率を分析してみましょう。

ゴールデンクロスに興味をお持ちの方、ゴールデンクロスをロジックに取り入れているけど、勝率やプロフィットファクターはどうなのだろう?と考えている方に向けて、今回は色々な角度からに検証した結果をお届けします。
FXの王道ゴールデンクロス勝率を検証する
FXトレーダーなら一度は耳にしたことがあるゴールデンクロス。
短期移動平均線が長期移動平均線を下から上に突き抜ける、あの有名なシグナルです。
でも実際のところ、このシグナルがどれくらいの確率で利益を生み出しているのか、気になりませんか?
私自身、長年FXに取り組んできましたが、ゴールデンクロスの真の実力については様々な意見があります。ですので今回は、データに基づいた検証をしていきましょう。
MT5(メタトレーダー)でMAゴールデンクロスを設定する
まずは基本中の基本、MT5(メタトレーダー5)でのゴールデンクロスの設定方法からご紹介します。
基本的な設定手順
- MT5を起動し、チャート画面を開きます
- 「挿入」メニューから「インディケータ」→「トレンド系」→「Moving Average」を選択
- 最初の移動平均線は期間を短く設定(例:5日)
- 同様の手順で2本目の移動平均線を追加し、期間を長く設定(例:20日)


これで基本的なゴールデンクロスを観察する設定が整いました。
※外部インジケーターをMT5に挿入する方法は、→こちらの記事を参照してください。
移動平均線ゴールデンクロスのFX手法を検証する
さて、一般的な移動平均線のゴールデンクロスの勝率を検証していきましょう。
短期線が長期線を下から上へクロスすると、ゴールデンクロスで買いシグナルとします。
ゴールデンクロスにクローズ条件を加えて勝率を検証
ロジックの条件は、次の通りです。リスクリワードは、1:1で検証していきます。
エントリー | 短期線が長期線を下から上へクロスすると、ゴールデンクロス |
クローズ | +100pips で利確 |
クローズ | –100pips でロスカット |
短期SMA | パラメーター 5 |
長期SMA | パラメーター 20 |
通貨ペア | EUR/USD |
時間足 | 4時間足 |
検証期間 | 2024年5月16日 から 2025年5月16日 |
SMAゴールデンクロス検証結果
単純移動平均線(SMA)のゴールデンクロスと上記のクローズ条件での結果はこのようになりました。
項目 | 値 | 項目 | 値 |
---|---|---|---|
初期証拠金 | 10,000.00 | 証拠金絶対ドローダウン | 352.94 |
純損益 | 1,232.34 | 証拠金絶対ドローダウン | 535.28 (5.26%) |
総損失 | -1,561.84 | 残高相対ドローダウン | 4.71% (478.10) |
プロフィットファクター | 0.79 | 証拠金維持率 | 8564.98% |
リカバリファクター | -0.62 | Z-Score | 0.22 (17.41%) |
取引数 | 28 | ロング (勝率 %) | 28 (46.43%) |
勝ちトレード (勝率 %) | 13 (46.43%) | 負けトレード (勝率 %) | 15 (53.57%) |
最大 勝ちトレード | 100.06 | 最大 負けトレード | -115.04 |
平均 勝ちトレード | 94.80 | 平均 負けトレード | -102.82 |
最大 連勝数 (全額) | 4 (368.98) | 最大 連敗数 (全額) | 3 (-329.24) |

収益の結果は、マイナスとなりました。
総損失が-1,561.84ピップスであり、総利益の1,232.34ピップスを上回っています。
勝率は、46.43%(13勝15敗)と50%を下回っており、勝つよりも負ける取引の方が多いことを示していますが、ほぼ、50%なので、プラマイ0になるロジックだと考えられます。
プロフィットファクターは、0.79という値は1.0未満で、これは投資した金額に対して回収できる金額が少ないことを意味します。つまり、長期的には確実に資金が減少していく傾向にあります。
リカバリファクターについても、-0.62という値は、ドローダウンから回復する能力が非常に低いことを示しています。
SMAのパラメーターを変更して検証する
短期SMA | パラメーター 20 |
長期SMA | パラメーター 100 |
指標 | 値 |
---|---|
総損益 | -269.34 |
総利益 | 378.68 |
総損失 | -648.02 |
勝率 | 40.00% |
プロフィットファクター | 0.58 |
リカバリファクター | -0.60 |
最大ドローダウン | -322.12 |
トレード数 | 10 |
総損益は、マイナスです。勝率も40%、プロフィットファクター1.0以下なので、効果的ではないですね。
今度は、ゴールデンクロスのためのSMA数値は、上記2つと変えず、クローズ条件だけを変えてみましょう。
クローズ条件を変える
リスクリワードを2:1にしてみます。
クローズ | +100pips で利確 |
クローズ | –50pips でロスカット |
短期SMA | パラメーター 5 |
長期SMA | パラメーター 20 |
指標 | 値 |
---|---|
総損益 | -257.32 |
総利益 | 1066.08 |
総損失 | -1323.40 |
勝率 | 30.56% |
プロフィットファクター | 0.81 |
リカバリファクター | -0.58 |
最大ドローダウン | -264.10 |
トレード数 | 36 |
勝率も30%でトータルでマイナスです。
この後も、パラーメーター数値や時間軸、通貨ペア、リスクリワードも変えて試してみましたが、同じような結果になったので、その部分は省略します。
ここまでで分かることは、クローズ条件を変えたとしても、ゴールデンクロスだけでエントリーするのは、あまり精度がよくないと考えられます。
特にレンジ相場が多い期間は、ゴールデンクロスだけでエントリーは不向きですので、長期MAやMACDなど何かしらのトレンドフィルターが必要ですね。
MACDゴールデンクロスのFX手法を検証する
MACDをトレンドフィルターとして組み合わせ、上記の移動平均線のゴールデンクロスの勝率や収益率などを検証してみましょう。
まずは、せっかくなのでMACD単体のゴールデンクロスも人気のあるといわれている手法なので検証してみました。
エントリー | MACDがシグナルを下から上へクロスすると、ゴールデンクロス |
クローズ | +100pips で利確 |
クローズ | –100pips でロスカット |
短期MACD | パラメーター 12 |
長期MACD | パラメーター 26 |
シグナル | パラメーター 9 |
通貨ペア | EUR/USD |
時間足 | 4時間足 |
検証期間 | 2024年5月16日 から 2025年5月16日 |
標準パラメーターでの勝率
指標 | 値 |
---|---|
総損益 | -301.56 |
総利益 | 1532.18 |
総損失 | -1833.74 |
勝率 | 50% |
プロフィットファクター | 0.84 |
リカバリファクター | -0.35 |
最大ドローダウン | -708.20 |
トレード数 | 34 |
一般的な設定(12,26,9)でのMACDゴールデンクロス手法の勝率は、50%、総損益もマイナスという結果になりました。
さすがに、これだけを手法としてFXで勝ち続けることは難しいですね。
今度は、逆張りに絞ったMACDのゴールデンクロスで検証しみましょう。
逆張りMACDゴールデンクロス
逆張りなので、レベル0より下でゴールデンクロスした場合に限定します。
レベル0より上でMACDがゴールデンクロスしていてもエントリー対象から除外します。
指標 | 値 |
---|---|
総損益 | -156.86 |
総利益 | 1036.82 |
総損失 | -1193.68 |
勝率 | 47.83% |
プロフィットファクター | 0.87 |
リカバリファクター | -0.22 |
最大ドローダウン | -638.84 |
トレード数 | 23 |
勝率も損益もあまり変わりませんね。やはり、レンジ相場が多ければ負けてしまいますね。
次は、トレンドフィルターを加えて見ましょう。
FXゴールデンクロス手法+トレンドフィルター勝率を検証
上昇トレンド中にゴールデンクロスした場合に限定して検証してみましょう。
FXトレンド手法で人気のSMAをトレンドフィルターにする
エントリー | 長期SMAより上で中期SMAと短期SMAのゴールデンクロス |
クローズ | +100pips で利確 |
クローズ | –100pips でロスカット |
短期SMA | パラメーター 5 |
中期SMA | パラメーター 20 |
長期SMA | パラメーター 75 |
通貨ペア | EUR/USD |
時間足 | 4時間足 |
検証期間 | 2024年5月16日 から 2025年5月16日 |
指標 | 値 |
---|---|
総損益 | -193.22 |
総利益 | 665.82 |
総損失 | -859.04 |
勝率 | 7 (46.67%) |
プロフィットファクター | 0.78 |
リカバリファクター | -0.49 |
最大ドローダウン | 364.00 (3.58%) |
トレード数 | 15 |
んー、人気の長期SMAをトレンド手法として加えましたがあまり意味がないですね。勝率もその他の数値もあまり変わりません。
この後、MACDゴールデンクロスについても、SMAのトレンドフィルターを加えて検証しましたが、同じような結果になりました。
長期移動平均線の上に価格があれば上昇トレンドというような判断は安易にできないですね。
しかし、分析の結果、長期移動平均線の上に価格があれば上昇トレンドというフィルターを加えた場合、時間帯によっては良い結果をだしていることが分かりました。
SMAのゴールデンクロスでもMACDのゴールデンクロスでも、NY市場時間帯に勝率も利益率も上がっている結果が見られました。
インジケーターだけではなく、時間帯も味方につけた方が良い結果がでると考えられます。

※16-23時がNY市場と表示されていますが、これは、MT5の時間です。日本時間に直すと、22時~翌5時頃(サマータイム)です。
ゴールデンクロスを使ったFXロジックの勝率まとめ
ここまでSMAとMACDを使ったFXのゴールデンクロス手法の勝率や利益率を検証してきました。
検証から明らかになったのは、ゴールデンクロス単体では勝率約50%程度と、トレード戦略としては不十分な結果となりました。
この戦略を効果的に活用するには、以下のポイントを考慮するといいかなと思います。
時間帯の選択:検証の結果、USDペアは、NY市場時間帯(日本時間22時〜翌5時頃)に限定することで、ゴールデンクロスの精度が向上していたので、他の通貨ペアを使う場合も時間帯を考慮する。
単体使用は避ける:レンジ相場が多い期間では特に精度が下がるため、何らかのトレンドフィルターと組み合わせることが必須と考えられます。
レンド判断の複合化:長期SMAの位置だけでトレンド判断するのは不十分なため、複数の指標を組み合わせた総合的なトレンド判断が必要です。
皆さんもぜひ、自分のトレードスタイルに合ったゴールデンクロス手法を見つけて、検証してみてください。
このブログ記事の検証は2024年5月16日から2025年5月16日までの1年間のデータを使用しています。将来において同様の結果が得られるとは限りませんので、実際のトレード判断はご自身の責任で行ってください。