
FXや株式投資で多くのトレーダーが愛用するボリンジャーバンド。

そんな風に思ったことはありませんか?
長年トレード検証をしてきて、ボリンジャーバンドは順張りが最強、いや、逆張りが最強など、たくさんの論争を見てきました。
今回は、最強設定と言われるボリンジャーバンドの手法を検証しようと思います。
多くのトレーダーが探し求める「ボリンジャー バンド 最強設定」。
でも、本当に万能な設定なんて存在するのでしょうか?
ボリンジャーバンドとMA・STCだけで勝てるという海外版1分足の手法を検証
「ボリンジャーバンドとMA、ストキャスティクスだけで勝てる最強手法」というのを海外版で見つけたのでそれを検証したいと思います。
内容は、MAをトレンドフィルターとして使い、買われ過ぎをボリバンとストキャスティクスで計る手法のようです。
エントリー | |
BUY | EMAより上・-2σの外側に価格がある場合に、ストキャスティクスが売られ過ぎからクロスオーバー |
SELL | EMAより下・+2σの外側に価格がある場合に、ストキャスティクスが買われ過ぎからクロスオーバー |
ボリンジャーバンド | |
期間 | 50 |
標準偏差 | 2 |
EMA | |
期間 | 1000 |
利益目標 | 10ポイント |
損切り | ボリンジャーバンドの外側 |
検証結果
上記のロジックをEA化して、MT5のストラテジーテスターで検証してみました。
検証結果は次のようになりました。
売り勝率 65.82%
買い勝率 70.14%
総損益 -530.33

プロフィットファクター 0.38
総利益 325
総損失 -855
勝率は、売り買いともに高い勝率となりました。
しかし、結果的にマイナストレードなので、ボリンジャーバンドとEMA・ストキャスティクスだけで勝てるというものではないようです。
勝率は高いため、敗因は、リスクリーワードが悪く、損切が深い、スプレッド負けというのが原因だと思います。
ボリンジャーバンドの1σ~3σラインに収まる確率とデメリット
ボリンジャーバンドの1σ~3σに収まる確率について見ていきましょう。
統計学的な話をすると、正規分布では、3σに収まる確率は、約99.7%です。
1σは、約68.2%です。
3σに収まる確率が約99.7%なので、3σ内に価格が近づいてきたら、99%反発するので逆張りすればいいのではと思いますが、実際は、そう上手くはいきません。
つまり、為替相場は完全な正規分布ではないということです。ここがボリンジャーバンドのデメリットでもあります。
実際の相場では、理論値よりも外れる確率が高くなります。
実際の相場での確率 |
重要な経済指標発表時 |
地政学的リスクの高まり |
市場参加者の心理的要因 |
これらの影響で、3σを超える動きも珍しくありません。
「ボリンジャーバンド2σに収まる確率について」と「為替相場は完全な正規分布ではない」については、以下のページを参考にしてください。
ボリンジャー バンドの最強設定を探す前に知っておくこと
では、少しでも最強設定に近づくためには、どうしたら良いのでしょうか。
ボリンジャーバンドの最強設定に近づくために、まず、ボリンジャーバンドを作った人の考え方を確認しておこうと思います。
ボリンジャーバンドを作った人のおすすめインジケーター設定
ボリンジャーバンドを作った人って誰か知っていますか?
ボリンジャーバンド + ストキャスティクス
この組み合わせが効果的とされる理由は、開発背景にあります。
ボリンジャーバンドを作ったジョン・ボリンジャー氏は、ストキャスティクスを愛用しており、それを改良する目的でボリンジャーバンドを開発しました。
つまり、両者は元々「相性が良くなるように」設計されているのです。
前の項目で、海外版のボリンジャーバンドの逆張り手法を検証しましたが、これもストキャスティクスが組み合わせとして使われています。
海外では、ストキャスティクスとの組み合わせは多く見られます。
ただし重要なポイントがあります。
多くのトレーダーはバンドタッチで逆張りを行いますが、開発者のボリンジャー氏自身はこの手法を推奨していません。
彼が提唱するのは「ボラティリティ・ブレイクアウト」、つまりバンドを価格が突破した際にトレンド発生と判断して順張りする手法です。
バンド反発を期待するのではなく、ブレイクアウトでトレンド継続を狙う—これが開発者の本来の意図なのです。
ボリンジャー バンドの順張りを検証
今度は、ボリンジャーバンドの順張りを検証してみましょう。
エントリー | ロンドン・NY市場 |
BUY | スクーズ状態からエクスパンション(+2σの外側に抜ける) |
SELL | スクーズ状態からエクスパンション(-2σの外側に抜ける) |
検証用に作成したEAのスクーズ状態(レンジ相場)の定義は、「ボリバンの2σ内にローソク足が20本以上連続で推移」しているとします。
ボリンジャーバンド | |
期間 | 20 |
標準偏差 | 2 |
利益目標 | 80Pips |
損切り | -15Pips |
検証結果
総損益 | 388.71 |
総利益 | 1,844.32 |
総損失 | -1,455.61 |
プロフィットファクター | 1.27 |
最大ドローダウン | 292.07 (2.82%) |
ショート勝率 | 48 (22.92%) |
ロング勝率 | 65 (18.46%) |
勝ちトレード勝率 | 23 (20.35%) |
順張りで検証した結果、プラストレードとなりました。
勝率は低いけど、リスクリワードを3:5にしているので、順張りが成功したときにトレンドを大きく、つかみ取っています。つまり、バンドウォークを獲っていくというような感じです。
また、トレンド相場になりやすいロンドン市場・NY市場でのみエントリーをするという部分もポイントです。
この他にも順張りと逆張りを比較して検証してみましたが、順張りの方がプラスになる傾向が多かったです。
さらに、勝率も高くある必要はなく、リスクリワードを良くすることの方が重要なのが理解できます。
ボリンジャーバンドのスマホ設定方法
まず、実際の設定方法から確認していきましょう。
最近はスマホでトレードする方も多いので、ここでは、スマホでボリンジャー バンドを設定する方法に触れておきます。
スマホでも簡単に設定できます。
外部からインジケーターを挿入する設定は、→こちらを参考にしてください。
MT4・MT5での設定手順 |
チャート画面で「f 」をタップ |
「メインウィンドウ」から「Bollinger Bands」を選択 |
パラメータを設定(期間・標準偏差・適用価格) |
色やラインの太さを調整して「完了」 |


主要なパラメータの意味
期間(Period) | 計算に使用する過去のローソク足の本数 |
標準偏差(Deviations) | バンドの幅を決める数値 |
適用価格(Applied to) | 終値、高値、安値など計算に使う価格 |
ボリンジャーバンド最強設定まとめ
実際の検証を通じて、ボリンジャーバンドの逆張り手法は高勝率でもマイナス収益となり、一方で順張り手法は勝率は低いもののプラス収益になるパターンが他の通貨ペアでも多く見られました。
10年以上のトレード検証経験から、開発者ボリンジャー氏が推奨する「バンドブレイクアウト手法」の方が有効性を感じさせますがが、期間限定の検証のため普遍的な「最強設定」とは断言できません。
ただ、勝率よりもリスクリワードの改善が重要なのは、検証から理解できます。
この記事で記載している内容は、一定期間での検証結果です。この期間以外では、この検証結果と異なる結果となる可能性がありますので予めご了承ください。検証期間:2024年7月18日~2025年7月18日。